学修目標

  1. 学修の振り返りのステップを説明できる。
  2. 学修の振り返りを随時自分で行うことができる。

1.学修を「振り返る」

SIH道場では、みなさんが専門分野の早期体験を通してラーニングスキルを身につけるだけでなく、大学での学修について「振り返り(内省、リフレクション)」を行うための習慣を身につけることも期待しています。「振り返り」とは、過去に行ったことをぼんやりと脈絡なく思い出すことではなく、学んだ内容を整理し自分なりの意義づけをし、自己の成長と改善点を見出し、次のよりよい学修につなげるための礎となる能動的な活動のことです。自分自身の思考を振り返ることは、「メタ認知」と呼ばれています。優れた学習者は、「メタ認知」や「動機づけ」「行動」に関する戦略を統合的に用いることができ、自己の学修効果に関するフィードバックに反応し、自分が到達した内容について自覚的である、というところに特徴があると言われています。

自己の学びについて「振り返り」を行い、改善点等を見出し、行動にフィードバックする(自己調整する)習慣を身につけた人は、自律的な学習者として生涯学び続けることができます。例えば、職業人として必要となる知識や技術が新たに増えても、臆することなく試行錯誤で学び、振り返りをしながら改善点を見出し、やがて身につけることができるでしょう。 SIH道場の授業内容は各学部学科で異なりますが、各授業回の最後やSIH道場の終了時等には、「振り返り」の機会が設定されています。SIH道場での「振り返り」の機会を通して、自己の成長につながる「振り返り」の仕方をぜひ身につけましょう。

振り返りには、「1)学んだ内容」「2)学んだプロセス」「3)学びの意義」「4)学びの活用」の4つの観点があります。SIH道場 学修の振り返りルーブリック評価表.pdf (PDF 323KB)で、「(A)期待通りです」「(B)まずますです」「(C)努力しましょう」のそれぞれの尺度に該当する内容をあらかじめ確認しておきましょう。

振り返りの際は、次の5つのステップを意識するとよいでしょう。

振り返りのための5つのステップ

  1. 学修目標(授業で提示されたもの?自分なりのもの)を設定する
    学修目標を意識することで、目標に向けた能動的思考?活動が促されます
  2. 自分が学んだ内容、理解した内容を振り返る(記述する)
    学んだ内容を明確化することで、自己の理解度を判断できます
  3. 学びのプロセス(体験学習、課題の作成など)で、自分がどのような方法をとったのか、順序立てて振り返る(記述する)
    学びのプロセスを明確化することで、今後の改善につなげることができます
  4. 自分が学習し理解した内容の意義(自分にとってどのような意味があるか、なぜ重要だと思うのか、どのように感じたのか)を具体的に振り返る(記述する)
    学びの意義を明確化することで、より深い気づき(意欲)が得られます
  5. 自分が学んだプロセスや学んだ内容の意義を踏まえて、今後の学習をどのように進めていくことができるか、具体的に振り返る(記述する)
    最初の目標に照らし到達度を確認することで、具体的な改善策を立てられます

2.授業ごとの振り返り

振り返りを習慣づけられるようになると、改善へのサイクルが自然と回りだします。まずは、SIH道場の各授業で振り返りを丁寧に行うことで、よりよい学修へとつながる振り返りの方法を身につけていきましょう。以下は、各授業回の後で行う振り返り方法の一例です。 振り返った内容は、「リフレクションシート:サンプルA).pdf (PDF 63.2KB)(授業ごとのリフレクション)」等に書き出してみるとよいでしょう。 *リフレクションシートの使用については、授業担当の先生の指示にしたがってください。

授業ごとの振り返りの流れについての図

3.SIH道場終了後の振り返り

SIH道場の授業を通して、専門分野での学修や大学での学びの方向性について見えてきたでしょうか。「文章力」「プレゼンテーション力」「協働力」などのラーニングスキルはどの程度身についたでしょうか。専門分野の早期体験で得られたことやラーニングスキルの修得度など、SIH道場の体験を通して得られたこと(または得られなかったこと)について自己評価して自分の現状を把握し、学修計画を再設定することで次の学修につなげていきましょう。

  • 全体的な振り返りの際には、授業で行ったワークや提出課題などの学修成果物を参照しながら行いましょう。例えば、早期体験の際に作成したレポート等が材料になります。
  • 3つのラーニングスキル(「文章力」「プレゼンテーション力」「協働力」)については、それぞれのルーブリックに基づいて、自己評価してみましょう。各ルーブリックの「観点」で、自分が「期待通りです」「まずますです」「努力しましょう」のどれに位置づくのか考え、その理由を書き出してみましょう。
  • 「総合リフレクション」として、SIH道場で得られた収穫やこれから新たに学びたいことを書き出しましょう。
    *もし、収穫が全く得られなかった場合は、どうして収穫が得られなかったか、どうすれば収穫が得られそうか、書きましょう)。

振り返った内容は、「リフレクションート:サンプルB.pdf (PDF 69.4KB)(SIH道場の全プログラム終了後リフレクション)」等に書き出してみるとよいでしょう。

  • 学修計画シート:サンプル C.pdf (PDF 71.9KB)(SIH道場のリフレクション後に実施)」を使って、当面(半年間~1年間)の学修目標と学修計画を立てて、次の学びにつなげていきましょう。
    *リフレクションシートの使用については、授業担当の先生の指示にしたがってください。

さらに「振り返り」について学びたい人へ:文献案内

  • 松尾睦(2011)『「経験学習」入門』ダイヤモンド社
  • 中原淳、金井壽宏(2009)『リフレクティブ?マネージャー:一流はつねに内省する』光文社
  • エドガー H.シャイン著?金井壽宏訳(2003)『キャリア?アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう―』白桃書房
  • 多鹿秀継編著(2008)『学習心理学の最先端―学びのしくみを科学する』あいり出版