徳島大学FD推進プログラム第3期計画
(平成20年度~22年度)


はじめに
徳島大学FD推進プログラム第1期及び第2期の実践と大学を巡る社会的要求の変化とが相まって、教員の教育やFDに対する意識が変化し、第1期計画開始の頃とは隔世の感がある。平成18年度に実施された大学評価?学位授与機構による認証評価報告書の中では、徳島大学FDについて「学生や教職員のニーズが反映されており、組織として適切な方法で実施されている」と評価されている。また、毎年行っている合宿ワークショップ研修は新聞(2007.7.6(金)、読売新聞23面)に取り上げられ、社会的注目を集め大きな反響を呼んだ。大学開放実践センター教員に対しては、他大学等からの視察及びFD講演、ワークショップ実施の依頼が来ており、徳島大学は今ではFD先進大学として認知されている。

他方、これまでの実践から課題も明らかになっており、これらの課題を克服しなければならない。また平成20年度からは学士課程におけるFDが義務化される。従って、FD推進プログラム第3期計画では、FD義務化に対応しつつ、これまで明らかになった課題を克服して一層の発展を目指さなければならない。

1 第2期プログラムへの参加者数 (人)

プログラム名 17年度 18年度 19年度
基礎プログラム※ 12 8 21
リーダーワークショップ※ 11 11 11
授業コンサルテーション?授業研究会 44 45 35?
FDラウンドテーブル 47 53 11?
教育カンファレンス 79 64  
合計 193 181 78?

※ 運営メンバー?事務局?特別講師等を除く
? 19年度は9月20日現在の人数

2 第2期プログラム実施からみえたFDの課題
(1)参加者が少ない
(2)全学FDの企画実施のほとんどを実践センター教員が行ってきたが、今後は真に全学的な体制にしなければならない。

(3)授業改善を、「声は良く聞こえるかどうか、板書は見やすいかどうか、授業の組み立てはどうか」など、個々の授業について個別に行ってきた。今後はこれを継承しつつ、カリキュラムの視点からも授業改善をめざす必要がある。


3 教員の研修義務化への対応
平成18年度より、すでに大学院FDが義務化されているが、平成20年度からは大学設置基準も改正され、「第二十五条の三 大学は、当該大学の授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究を実施するものとする。」となり、学士課程におけるFDが義務化される。従って、徳島大学FD推進プログラム第3期計画は、実施組織とプログラムの二点においてFD義務化に対応するものでなければならず、この点も取り込んで第3期計画を策定する。その要点を次の基本方針に示す。

4 徳島大学FD推進プログラム第3期計画の基本方針
(1)FD組織の見直し
全学FDと部局FDの連携を強化し、大学として組織的FDを実施する(全学FD、共通教育?学部?大学院FD)
1.徳島大学FD実施の中核組織として、FD専門委員会を一層充実させるために、委員会を定例化し、実質的な討議の場とする。(平成19年度より実施中)また、FD専門委員会委員を学部FD委員会の委員長又はそれに代わるものとする。(平成20年度から実施)
2.FD専門委員会は、全学FD、共通教育FD、学部FD、大学院FDについて情報及び意見交換し、連携プログラムを企画?実施する。

(2)プログラムの見直し
1.参加者にとって有益なFDを実施し、参加者の増加をめざす
2.「FDファシリテータ養成研修」を行い、FD人材を学内で育成する。
3.全学FDの一環として「共通教育」に特化したFDを行う。
4.学部FDを学部FD委員会の責任のもとに実施する。学部は次年度FD計画を策定公し、FDホームページに実施報告を掲載する。
5.研究科?各教育部は大学院FDを責任をもって実施し、次年度FD計画を策定公表し、FDホームページに実施報告を掲載する。


5 第3期計画のプログラム内容
第3期計画の基本方針に基づいて、次のようなプログラムを実施する。
(1)全学FD
1.FDファシリテータ養成研修
部局等でFDを実施するためのFDファシリテータを養成する。1泊2日の合宿によって実施し、FD人材を学内で養成するとともに、FDファシリテーター?コミュニティーを育成する。
これまでのリーダーWSをバージョンアップさせる。
対象者:FD委員会委員(各学部2名以上)
開催時期:6月
方法:レクチャーとグループワーク
会場:淡路青少年交流の家,1泊2日で実施

2.共通教育をテーマとしたFD
会 場:授業研究インテリジェントラボ
プログラム内容:
?共通教育の理念?意義について考察
?共通教育の教育課程上の位置づけの検討及び共通教育カリキュラム開発のサポート
?共通教育における教授法の検討と研修(Active learningやWriting skillsなどの基礎的スキル養成の手法など)
?成績評価法について検討

方 法:
?共通教育担当者対象の個別コンサルテーション?授業研究会(対象者は毎年10人程度とする)
?レクチャーとワークショップ、グループディスカッション
※詳細については、大学教育委員会、共通教育センター、及び大学開放実践センターで協議する。
3.教育技術についての学習会開催(教育技術スキルアップ講座)
特定の教育技術、例えば学生の能動的学習(Active learning)、e-learninngについて継続的に勉強会を行う。
4.FDラウンドテーブル
教育技術だけでなく、教材開発、新科目創設なども話題とする。また、予算、財務、教員倫理など、大学を構成している要素すべてを含めた内容とする
(リラックスした雰囲気の中で、これらのテーマについて情報共有、ディスカッションの機会を設ける。)
対象者:関心がある全教職員?大学院生?TA
話題提供者:徳島大学内外の教職員

5.教育カンファレンス
教育改善の取り組みを学内教育カンファレンスで発表する。
内容:教員、職員、学生による教育改善の取り組みを発表。
開催時期:各年度計画の中で決定する。

6.『大学教育研究ジャーナル』発行
『大学教育研究ジャーナル』の継続発行。全学FD実施報告書を兼ねる点も従来と同様とする。

(2)学部?大学院FD
各学部、研究科又は各教育部は学部?大学院FDについて次年度計画を作成し公表する。テーマ、プログラム等は部局のニーズに合わせて部局で検討する。
例えば次のような内容が考えられる
1.初任者?若手教員等研修
2.Teaching award の推進
3.TAに対する研修プログラム
大学院の授業科目の一つとして単位を出すことも含めて検討する。
4.Student Development(教育改善への学生参加)を進める。
5.その他、各学部?大学院で必要とする研修


6 第3期計画におけるその他の事業
(1)FD情報の共有と発信を進め、そのためのITインフラを整備する
現在稼働中のFDホームページ「FDがつなぐ徳島大学教育ネットワーク」を拡充し、全学FDのみならず、学部FD及び大学院FDの計画と実施報告を掲載し、徳島大学FDについての情報をホームページ上で共有できるようにすると共に学外に発信する。
(2)FDの効果検証方法の開発
全学FDも第1期、第2期プログラムを実施し、効果検証すべき時期に来ている。そこで第3期計画の一環としてFDの効果検証方法の開発に取り組む。
(3)FD?SD(Staff & Student Development)の協働
学生をいろいろなFD活動に組み込み、また事務職員との協働を進める。
(4)FD参加認証制度の検討
組織的FDの実施義務は大学に課せられているが、同時に参加者への認証と参加インセンティブの検討が必要である。
(5)FDセンターの設置
授業研究インテリジェントラボにFDセンターの機能をもたせ、学部等FDへの支援体制を整備する。

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